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OSSカルテの読み方 — 何を見て、何を見ないか

OSSカルテは 2026年9月15日 時点で、OSSの公開情報を整理して表示するサービスです。安全か危険かの判定はしません。出すのは「確認すべき点が何件あり、それが何を意味するか」で、採用するかどうかの判断は読む人に委ねています。

最初に出る3つの数字

カルテを開くと、いちばん上に3つの数字が出ます。

数字 意味
観測できた項目 実際にデータが取れた項目の数
確認すべき点 あなた自身で確かめたほうがよい項目の数
データが取得できない項目 取れなかった項目の数

ここに総合評価も点数もありません。 意図的にそうしています。

ひとつの色やスコアに丸めると、読む人はそれだけを見て中身を見なくなります。 そして丸め方の責任を、こちらが負うことになります。 セキュリティに絶対はなく、指標の組み合わせから 「このOSSを使ってよいか」を決めることはできません。

「データが取れないこと」と「問題があること」を分けて数えているのも重要な点です。 この2つを混ぜると、情報が少ないOSSほど悪く見えてしまいます。 新しいプロジェクトや、小さなライブラリが不当に低く見えるのを避けるためです。

見る順序

指標は上から順に並んでいますが、採用を検討するときに見る順序は別です。 実務で効く順に並べると、こうなります。

1. ライセンス

最初に見てください。ここで条件が合わなければ、他をどれだけ見ても意味がありません。 確認にかかる時間も最も短く済みます。 → License

2. 使うバージョンに影響する脆弱性

「そのライブラリに脆弱性があるか」ではなく、 **「あなたが使うバージョンに影響するか」**を見ます。 多くの Advisory は「◯.◯.◯ 未満に影響、◯.◯.◯ で修正」という形です。 → Vulnerabilities

3. リポジトリとパッケージの紐付け

パッケージが宣言しているリポジトリは自己申告で、詐称できます。 名前の似た別物を掴んでいないかを確認してください。

4. 保守の状態

Archived になっていないか、直近のリリースがあるかを見ます。 ただし、更新が少ないことがそのまま問題を意味するわけではありません。 → Maintained

5. 開発プロセスの指標

OpenSSF Scorecard の各項目です。ここは最後でかまいません。 1〜4 に比べると、あなたのプロジェクトへの影響は間接的です。

点数を足し引きしない

OpenSSF Scorecard は各項目に 0〜10 の点を付けますが、 それらを合計して安全性を比べることはできません。

理由は、点が低くなる原因が項目ごとにまったく違うからです。

  • Branch-Protection が 0 — 公開スキャンには設定を読む権限が無いため。実際は保護されていることが多い
  • Fuzzing が 0 — ほとんどのプロジェクトが 0 です
  • CII-Best-Practices が 0 — バッジを申請していないだけ
  • Token-Permissions が 0 — permissions:書いていないだけ
  • Contributors が 0 — 1人で保守しているプロジェクト

低い点の多くは「悪い」ではなく「わからない」か「そういう分野ではない」です。

そのため、OSSカルテでは Scorecard の総合スコアを大きく出しません。 公式が算出した値として、出典とともに参考表示するにとどめています。

人気と健康を混ぜない

スター数やダウンロード数は表示しますが、健康状態とは別の枠に置いています。 同じ表にも、同じカードにも入れません。

理由は単純で、人気があることと、保守されていることは別のことだからです。

  • スターが多くても、数年前に更新が止まっているライブラリはあります
  • ダウンロードが多いのは、多くの依存に含まれているからかもしれません
  • 逆に、スターが少なくても、必要な人にきちんと保守されているものもあります

スター数は「多くの人が便利だと思った」ことの記録であって、 「今も安全に使える」ことの記録ではありません。

同じ理由で、件数サマリの3つの数字にも人気の指標は含めていません。

このサイトが書かないこと

OSSカルテは、次のような書き方をしません。

書きます 書きません
Security Policy が確認できない このOSSは危険
直近12か月にリリースが確認できない 開発が終わっている
Advisory が2件公開されている 脆弱性があるので使うな
リポジトリが Archived になっている メンテナが投げ出した

開発の終了について書けるのは、リポジトリが Archived になっている、 パッケージが Deprecated として公開されている、 README に明記がある、メンテナーによる告知がある、 のいずれかが確認できる場合だけです。

最終コミットが古いというだけでは書きません。 根拠のない断定は、OSS開発者に対する不当な評価になるからです。

掲載内容に誤りを見つけられた場合は、 お問い合わせからご連絡ください。 OSS開発者の方からのご指摘も歓迎します。

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